エンジニア業界でネガティブな話をよく目にするSES。
正式名称を「システムエンジニアリングサービス」と言い、特定の業務に対してITエンジニアの技術力を提供する委託契約です。成果物として完成したシステムを納品する受託開発と異なり、労働者への対価を支払います。
構造的にどうしても下請けとなってしまうこともあり、「SESはブラックだ!」と言われてしまうことが多いですが、本記事では、ネット上にあるSESのネガティブ情報についての真実を、SES営業のプロ、増永さんに詳しくお聞きしました!
ズバリSESは悪なのでしょうか?!
SESに関して普段の採用面接で感じるのですが、SES/受託開発/自社サービスの3つでなぜこれは良くて、これは嫌だとはっきり言えるエンジニアっていないんですね。
考えを深く掘って聞いてみると、SES/受託開発/自社サービスのカテゴリーが関係ないことがほとんど。というか99.9%です。
理論的な意見を持っている訳ではなく、SNSで悪い意見をみていたり、自社サービスや受託だと好きなことができるんでしょというイメージなので、正直SESは関係ないかなと思っています。
ネット情報にあるSESのメリットデメリットはSES/受託開発/自社サービスすべてにあると思っています。
ネット上にあるSESのデメリットは信用できるのか?
ネット上にあるネガティブ意見の上位について聞きました。結論として、SESに限ったことではなく自分次第なことが多い印象です。それでは一つずつみていきましょう。
裁量権がない (言われたことをやるだけ)
サービスの一部分を担当していたとしても、「こうした方が良いのでは?」「こんな機能つけたらどうですか?」と提案してSESだから聞いてもらえないということはないです。
むしろ喜んでくれることが多いと思います。
なのでこれも、SESだからというよりも自主的に動ける人かそうでないかが大きいと思います。
雑用をさせられる可能性がある
雑用をさせられたというケースはほとんど聞かないですね。例えばアルバイトでもできることを、業務委託にやらせるとなるとクライアントとしても払っている金額に対して損をしそうですよね。
現場によっては、メインの業務以外のことを頼まれる可能性もあるかもしれませんが、まれなことだと思います。
スキルが伸びにくい
スキルに関しては、やはり自分次第の部分が大きいです。例えば、代表の岩本も当時新人研修上がりで、すぐ現場に入ったので即戦力とはいかない訳です。
開発のテスターとして入って、テストケースをこなしました。彼はディレクターになりたかったんですね。なので積極的に手を挙げてチャレンジさせてもらっていました。それは、そういう風に行動に移したからなんですね。
もちろん、それまでに手を挙げたらやらせてもらえるだけのコミュニケーションを取っているだとか、この人は頑張ってくれそうだなという背景が必要です。
どんな案件の現場に入ったとしても、言われたことだけやる人は、もちろん伸びないですね。ただそれは受託/自社サービスに入っても同じです。
現場のあたりはずれがある
これはないとは言い切れないですね。ただPRUMの場合、例えば「聞いてたことと違う」「PHPの開発ができると聞いていたのにテストしかさせてもらえない」「ドキュメントしか作っていない」などがあれば、私たち営業が退場させます。本人希望と違うので、出させてくださいという調整です。
── 実際あるのでしょうか?
PRUMではないですが、ごくまれに入ったらプロジェクトが炎上していたりで退場の調整をすることはありますね。
そういう現場だった場合、ハズレだったねと言って何もしないわけではなくすぐに対処します。なのでその会社に社員として入ることと比べたら良いですよね。自社サービスの会社に入社してハズレだった場合に比べて出入りはかなり楽だと思います。
短期間で終了してしまう
短期プロジェクトもあるのですが、実は短期で終わってしまう場合の理由として本人起因がほとんどです。遅刻が多いなど勤務態度で切られてしまいます。現状PRUM社員では短期で終わってしまうことはなく、それぞれの現場に長期在籍しています。
先方都合では、SES業界は最近だとコロナの始めに一時不況になり、ドバっと全員切られたりとかはありました。やはり社員は守るけど業務委託は守れないということですね。あとは予算変更などで切られたりとかもありますが、実際そんなに多くはないですね。
自社に評価されにくい
ほったらかしの会社も実際ありますが、通常は更新のタイミングでクライアントからフィードバックをもらうので、良い評価が来たらこちらでも褒めますし、何か直してほしいところがあれば一緒に考えたりしますね。
PRUMの場合、基本は担当営業がサポートしますが、技術的な指摘の場合はシステム事業部長やメンターが対応します。
また、評価面で言うとPRUMの場合はPRUMアカデミーなど業務外の活動があるのでそこでの活動も評価しています。
ネット上のメリットは本当か?
ここからは、ネット上に出ているSESの良いところについて同じように解説してもらいました。こちらも大枠は当てはまりますが、環境に加えて主体的に行動することで得られることが多いです。言葉だけを捉えるのではなく、内容をしっかりと理解していきましょう。
SESは責任が少ないから良い??
確かにSESは、成果物が勤務表だったりするんですね。もちろん仕事をしなければ契約を切られますが、極端な話だと規定の時間その場にいればお金がもらえちゃいます。そういった観点では受託や自社サービスと比較するとかかる責任は少ないかもしれません。
SESは残業がないから働きやすい??
これは入るプロジェクトによりますね。SESでも残業が多いところもあれば、毎日定時!という現場もあります。受託や自社サービスと同じです。
いろんなプロジェクトに関われる
SES/受託/自社サービスどれもそうかなと思います。短期間で現場を変えればもちろん関わるプロジェクトの数は増えます。しかし、同じ現場に何年もいれば数としては少なくなります。
人脈が広がる
これは間違いないと思いますね。さまざまな現場に直接入れて、いろいろな会社の人と一緒に仕事するので、人によってはすごく顔が広くなります。
自社の社員としか会話しませんというタイプの人もいれば、飲み会だったりプロジェクトの打ち上げに積極的に参加して、周りのいろんな人に声をかける人もいるので、性格に依存するとは思いますが人脈が広がることは間違いないです。
大手/有名企業案件に入れる
これも事実です。社員にならずに大企業の案件に入っていけるのはSESならではの強みです。
実際に案件としても、誰もが目にしたことのある大手企業の仕事はかなり多いですね。経験が浅い人でも先輩と一緒であれば受け入れてもらえることが多いですし、代表岩本も新卒で最初の案件が大手企業でした。
期間が決まっているので転職せずに多くの現場を経験できる。
これもSESのかなり良いところだと思います。大手企業の現場を転職せず、職歴も汚さずに経験できるってなかなかないですよね。
未経験からでも入りやすい
あります!自社サービスや受託開発の場合、即戦力以外は雇わないので未経験エンジニアにとってSESは1番入りやすいです。
スクールを卒業していざ就活となった時に、就職先が全然決まらない人はたくさんいます。SESはロースキルから入れる案件がたくさんあるので、実際にPRUMでも1カ月ほどで未経験層でも仕事が決まっています。
実務経験になる
エンジニアとして就職をする際、実務経験があるかどうかは非常に大きな評価ポイントです。SESで現場に入れば実務経験を積むことができるのでまずSESから始めることは、効率のよい方法だと言えます。
PRUMとしても、独学やスクールで長期間学び続けるよりも、早く現場に入ることを強く勧めています。
SESはうまく使いこなせば未経験エンジニアの味方になる
ネット上にあるSESのメリットデメリットを項目ごとにその道のプロにきいてみました。
結果、ネガティブ情報については本人次第、会社の体制などに理由があり、SESだから……ということは関係なさそうです。
表面的な情報を鵜呑みにせず、理由と自分の状況を当てはめてしっかり判断することでSESという環境を味方に付けることができるでしょう。